しおのーと

今澤汐音(いまざわしおね)のブログです。日常や考え事をつらつらつら。

愛読書紹介①

 

読書は趣味であって

生活の一部に本がある人や、息を吸うように本を読む人には到底及びませんが

それでも大好きな本というものが何冊もあります。

 

世はコロナ。

家でゆっくり過ごす時間をもてるならば

おすすめしたい本があります。

 

「つきのふね」森絵都(角川文庫)

 

つきのふね (角川文庫)

つきのふね (角川文庫)

  • 作者:森 絵都
  • 発売日: 2005/11/23
  • メディア: 文庫

 

小学生か中学生の頃に出会った本ですのでかなりボロボロですが

読めば読むほどグッとくる。大人になるほど登場人物が愛おしくなる。

そんな大好きな本です。

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私これ何回読んだんだろう…

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この薄さもたまらなく好き。

少し孤独な時に読むと

ちいさな灯りが心にぽっとともるような

あたたかい空気をまとっている気がします。

あのあくまで個人の感想です!超個人的な解釈です!

 

ここからあらすじと感想を書いてゆきますが

あくまで個人の感想です!(2回目)超個人的な解釈です!(しつこい)

 

 

あらすじ

― 心ならずも親友を裏切ってしまった中学生さくら。

進路や万引きグループとの確執に悩む孤独な日々で、唯一の心の拠り所だった智さんも、静かに精神を病んでいき―。― 先の見えない青春の闇の中を、一筋の光を求めて疾走する少女を描く、奇跡のような傑作長編!(裏表紙より一部引用)

 

 

 

 

これまで生きてきて一番しんどかった時期はいつかと問われたら

少し悩んで「中学生の頃」と答えるだろうなと思います。

少し悩むのは

理想の自分と程遠くて、周りの目ばかり気になって、自信がなくてつらくて、

でも間違いなく

キラキラ輝く思い出も1番多い時期だったから。

 

大人になって振り返ると

親友達と帰り道に流れ星をみたりプリクラをたくさん撮ったり、

幼馴染と放課後日が暮れるまで喋りまくったり、体育祭で好きな人を眺めたり

おもしろいくらい良い思い出ばかりなのに、

当時毎日つけていた日記はひどい荒れ様で。

「1人ぼっちがつらい」「女の子と話すのが怖い」「自分が嫌い」

「私の生きる意味は何なのか」等々

確かに泣きながら日記を書いていた記憶もある。

まぁよく毎日学校に行っていたなあと自分を褒めてあげたい!

 

未熟で多感なのは自分たちでは分からない。

そんな愛すべき中学生たちが毎日同じ場所に集って生活をする。

関わる大人は先生がほとんどで、狭いせまーい[社会]の中、

自分の価値を証明しようとしたり

自分の進む道を見つけようとしたり

知らず知らずのうちに人を傷つけて傷ついて

みんな平気な顔をしながら、必死で生きているんだと思う。

必死だからこそ、キラキラも憂鬱も、その経験1つ1つが色濃く自分に残る。

(もちろん、学校という社会が合っていてただ楽しく過ごせる人もいると思う。

それは素晴らしい特性だと思う。そういう人の存在に傷ついてしまう人もいるとは思うけど、そんなの関係なく大事にしてほしいと思う。)

 

「つきのふね」のさくらや勝田くん、梨利といった中学生たちが

自分の中学時代と重なるのは、大人が考える中学生像とは少し離れた

自分と世界との関わりを少し俯瞰して観察しているところや

それでも精神の未熟さゆえにどうにもできない人間関係に直面するところが

とても懐かしいからかなと思う。

追体験というわけでは全くないのに、その思考とか若々しさとかが懐かしいのは

すごいなあ。

さくらも勝田くんも梨利もそれぞれ自分に対して恐れがあって、

それを乗り越える術を必死で探している。

そしてそれが疾走感溢れる物語のラストで絡み合って昇華されていくのが

とっても爽快。

 

 

そしてもう1人大事な人、智さん。

孤独で脆くて頭が良くて、とにかく優しい。

子どもの頃初めて読んだ時には、しばらくこの人が理想の男性だった。

智さんと同じくらいの年齢になった今、昔に比べて人との出会いも増え、

すると智さんに重なる人達が周りに現れるようになった(勝手に重ねられるのも迷惑な話だと思うけど。ごめんなさい)。

優しい人は精神を病みやすいのか?

優しさの定義は人それぞれ、心の病気は環境や体質次第、

そこに果たして相関が見出せるかと言われるとそうは思えないけど

やっぱり私の周りの優しい人は病みやすい傾向がある気がする。

「智さんにはいろんな人のSOSが聞こえるんだよ」「そうかもしれんな― ただし問題は、それだけ敏感な智にも自分のSOSだけはきこえないらしいってことだ」(p128)

周りの人のことをよく見て大切にして、理想に向かって真面目に人生を歩もうとして、

いつのまにか自分の上限を超えて溢れ出してしまう。

そんな人をとても好きだと思うのは、昔から変わっていないのかもしれない。

自分のような自堕落な人間には到底起こりえないことだから少し憧れてしまうのかも(その分自分は安全だと思っているところは、さくらに似ているね)。

自分のことを好きになれないのも、笑っちゃうくらい昔から変わってない。

同じ本を繰り返し繰り返し読むって、持つ感想の違いとか

自分の成長度や成長してない度を知ることができるからおもしろい。

 

 

あ、ここから私の1番好きな1文を引用させていただきます。

ネタバレになるかもしれません。すっ飛ばしたほうが良いかもしれません。

読んだことある人、「わかるぅ!」ってなるかなあ?

他の人の好きな1文知りたい!

 

 

 

 

 

 

 

 

人より壊れやすい心に生まれついた人間は、それでも生きていくだけの強さも同時に生まれもってるもんなんだよ。(p172-173)

 私は心を患ったことがないし、自ら死のうと思ったこともないから、もし私の大切な優しい人が死にたくなってしまった時に何をいうこともできない(いってはいけない)だろうに、

それでも私は、あなたがいなくなってしまうのが悲しいというエゴだけで

何とか繋ぎとめるということをしてしまうと思う。

生きていくことが正しいとは正直思わないけど、もしも「それでも生きていく強さ」を持っているならば、生きた先で楽しい思い出を共有できるならば、

嬉しいなと思う。だからこの1文が私にとって希望であって。

あとシンプルにこの文字の並びと語感が好きで!

あとあと智さんに向けた言葉というのもなんだか嬉しくて。

これは作中に登場する手紙の中の1文ですが、この手紙を読むためだけに本を開く日もあります。

 

 

 

 

 

 

 

さて、自分の過去や思いと結び付けたおかげでなかなかシリアスな感想文になってしまいましたが、本書の読後はハートウォーミングフィーバーという感じです。

ミルクコーヒーの香りがしてくるような穏やかさです。

とにかく、登場人物の愛らしさとか、中学生の不安定な青春とか

それらを味わえるはず!激推し!ということです。

 

そして感想を語り合いたく思います…

どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

最後までお付き合いいただきありがとうございました(*'▽')

 

 

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